気がつくと、目の前には知らない天井がありました….
何で痔瘻(じろう)になったの?
2020年7月上旬、近所のラーメン屋さんで、チャーシュー麺を食べると下痢に…。
整腸剤をこまめに飲んで、7日で何とか普通の穴に戻ったものの、数日後、トイレでお尻を拭いているときに違和感…
袋の根本にポッコリ、コブのようなふくらみが。
特に痛みもなく、治りかけの筋肉痛ぐらいの感じなんですが。
オチンチン袋け?
勝手に治るかと思って放置してたものの、1ヶ月経っても変わらないので、個人病院へ。
コロナで癌の治療が受けられない患者さんのニュースをふと思い出しちゃいました…
電車を乗り継いで、とある個人病院に到着。
指を突っ込んでグリグリしてもらったものの、よく分からん、という事で総合病院の招待状をもらいました。
総合病院でも、若い女医さんに指でグリグリグリグリ、さらに何やらゴツイ器具でグイグイされ、海老反りでもだえること数秒。
痔瘻(じろう)が確定!
患部の大きさを見るためにMRIも受けたのですが、タトゥーをしているとMRI受けられないそうなので、ある程度生きたい人は気をつけてくださいね。
痔瘻(じろう)って何?
悪化すると、お尻を貫通して、新しいお尻の穴が出来ます(涙)。
オチンチン袋にお尻の穴できたのけ?
僕の場合は、8年ほど寄り添って暮らしたイボ痔さんがキレ痔さんを呼び込んで、キレ痔の傷が化膿。そしてじわじわと痔瘻(じろう)化。
そこに1週間の下痢爆撃で、フクロの裏まで痔瘻(じろう)が上陸しちゃったようです。
重度の痔瘻(じろう)になると、お尻をゴッソリ切り取って、人工肛門になる場合もあるみたいです….隣の患者さんの同僚の話が聞こえました….怖い。
入院から手術、退院まで
2020/8月現在は、コロナ禍まっただ中なので、集団感染を防ぐため、入院にはPCR検査が必要なんです。
そして、陰性確認の後に感染したら意味がないので、検査後即入院しなければいけない、という訳で
- 月曜: PCR検査 (結果がでるまで最長3日かかる)
- 木曜: 入院
- 金曜: 手術
- 土・日曜: 入院で経過観察
- 月曜: 退院
という4泊5日のスケジュールになりました。
月曜 PCR検査
病院の入り口を通るとすぐの場所に用意されているPCR検査スペースで待機します。
入り口すぐなので暑い….。
ビショビショになった頃に呼ばれると、プラスチックの棒を鼻の奥までつっこまれて、グリグリグリグリグリグリされます。
結構痛かった…。
後は結果を待つのみ。陽性の場合だけ連絡が来ます。
僕の時は、1日で結果が出るとのことでした。
木曜 入院
無事陰性だったようで、お昼に病院に向かいました。
そこで入院手続きをするのだけれど、事前にもらっていた書類一式を家に忘れて来たので、全部書き直し。本当にごめんなさい。
書類を書いたら受付票をもらって、入院病棟8Fに直行。
すぐ6人部屋に案内されて、フリータイムになりました。
1,000円のテレビカードを買うとテレビが見れます。
机もあってなかなか快適。
インターネットは、有線のものがあるって聞いていたけど、個室限定でした。。
17:30辺りにディナー
病院食は味が薄くて不味いってよく聞くけど、しっかり味がついていて凄く美味しかったです。
一緒に、左上にある、傷を早く治すドリンク「アルジネードウォーター」を飲みます。
ポカリ味。
手術までに肛門付近の便を全て出さなきゃいけないので、19時には座薬を2本打ち込んで、熱い夜を過ごしました。
金曜 手術
とうとう手術日当日。
朝食は無しで、6:30から座薬2本を再び投入してダメ押し。
燃え尽きて絞りカスになった後、10:40
看護師さんが迎えに来て手術棟3Fに移動。
生理食塩水の点滴を打ちながら30分ほど待つと、再びお呼びが掛かって、テレビで見たことある感じの手術室に移動しました。
この画像はネットから拾ってきたけど、まさにこんな感じでした。
宇宙人の子供を植え付けられる!!って感じ。
ちなみに服装は全裸の上にガウン1枚で、病院でちゃったら、違うところに入院させられちゃうやつです。
台の上に乗って横向きで背中を丸めると、腰の辺りにたっぷりアルコールを塗られて、麻酔用の針をブスッっと。
事前に痛くないって確認していたので、余裕をこいてたけど、何だか不穏な空気。
背骨の辺りに鈍痛がズイズイ来た後、右股にビクン!っと激痛。
「モモが痛いそうですよ〜」と看護師さんが執刀の先生に伝えると、グリグリして針の位置を変え、麻酔打ちまーすという宣言と共に麻酔注入。
足先がほんのり温かくなってきた頃、冷たいものをお尻につけて麻酔の効きチェック。
何も感じないので、うつ伏せ向けになって手術開始!
左手人差し指に心電図の装置、右腕に血圧計がセットされて、心電図がピコン、ピコンと僕が生きている音を聞きながら
小さくパチパチという音と焦げた臭い。
パチンパチンと小さいホッチキスのような音。
カラカラと金属が当たる音。
テレビで見るように、執刀医の先生がメス!みたいな事は無くて、2人の先生がコソコソ話しながら手術は淡々と進み、ました。
ニオイと音だけで、痛みや感触は何も感じないので、リラックスしながら待つこと30分ぐらい?
12:00丁度に、無事手術終了!
脚をグラグラ動かすことはできるけど、脚を上げることも指先を動かすこともできないので、手術台から看護師さんがヨッコイショとストレッチャーに僕を移して、手術室の外に素早く移動。
手術室を出たら、笑顔がまぶしい若い看護師さん4人に囲まれて、大丈夫でしたかー?と優しく声をかけられて、あれ、ここは天国?と錯覚。
手術室まで運ばれてきていた6人部屋の病室で使っていたベッドにヨイセッと移してもらい、病室まで運んでもらいました。
金曜 手術後
手術をした日は、麻酔の影響で起き上がると目眩や頭痛がしちゃうし、歩きまわると傷口が開くので、1日中ベッドで安静にしてないとダメみたいです。
歩けないので排便も禁止。
どうしても出る場合は、お尻の下に簡易トイレを置いて、ベッドの上でするとのこと…
薄い布一枚だけで区切られていて、ほぼパブリックスペースなココで排便をするというのは、流石にまだハードルが高いので、それは未来のお楽しみとすることに。
…..でも、しないと決意したら、妙にしたくなっちゃう人間の悲しさ。。
便意の波に飲み込まれないよう心を無にする時間が辛かったです。
そして、オシッコはし瓶。
twitterに写真を上げた所、俺なら入らない、というマウンティングが複数寄せられましたが、僕はギリギリ入りました。
しかし、この、し瓶との戦いが、まさかこのドキュメンタリー最大の苦痛になるとは….はしゃいでtwitterに写真をアップしていた時には想像だにしていなかったのでした。
悲劇の最初の予兆は、脚の麻酔具合を確認するため、モモに触った時。
モモは正座しすぎた後みたいに、かすかに触れてるのは分かるけど、何か遠い場所を触られてる感じ。
でも、妙な感触も一緒に付いてくる。
なんだろう?とサワサワしてみると、事切れて、しなびれたチンチン様でした。
冷たくなって三途の川を泳いでいた珍様も、術後3, 4時間してくると、やっと意識を取り戻してくれて一安心。
この辺りで排尿をするよう看護師さんに指示を受けるので、沢山お茶を飲んで初めての、し瓶チャレンジ!が、、、
……. !?
珍様の使い方を体が忘れちゃったみたいで、まったく力が入らない、というか力の入れ方がわからない。
それでもウンウン何度か頑張って、やっとのことチョロっと出始めたら30秒ぐらい止まらなくて黄色い洪水が、し瓶を埋め尽くしていました。
この最初の尿が全然出ない場合は、膀胱が破裂しないよう、管(カテーテル)を尿管に刺して直接出させるそうです。。挿せるぐらいの穴あったっけ?
さて、これで排尿機能完全復活!と思いきや、尿意は復活したものの、次の尿がでないでない。
消灯の22:00には真っ暗になるので、それまでには何とか出したくて、何度も挑戦したものの出ず、尿意ボルテージだけが上がってくる。
奮闘も虚しく、消灯。
その後、暗闇の中で何度も何度も何度も挑戦しても、思い出せない芸能人の名前みたいに、あ〜〜出かかってるんだけど何だっけ???って感じで、体から排尿法の記憶がポッカリ抜けてる。
しかも、ここに来て便意も背後から襲ってきて、ただでさえ尿が出ないのに、後ろの便意を抑え込みながら前は排尿という修羅場。
半裸状態で仁王立ちすること数十回。
夜中0時に何とかリリース成功!
あんなに出なかったクセに出始めたら、またまた止まらなくて、し瓶をあっという間に埋め尽くすし、この日だけで2度も戦後最大尿量を更新しました。
そしてやっと安心して就寝。
土曜 術後入院1日目
この日から完全に自由。
移動も、食事も、お風呂も、トイレもフリーダム。
昨日あれだけ地獄を見たおしっこも、普通に出て一安心。
だが、、怖いのはウンチくん。。
痔瘻(じろう)の手術方法は色々あるのですが、軽い場合は「シートン法」というのが有名で、肛門内部で膿が出来て、膿がお尻を掘り進んじゃったトンネルを全部綺麗にくり抜いて、そこにゴムを通す、という方法です。
ゴムという異物を排除しようとして体がどんどんゴムを外に追い出しながら傷口がふさがっていき、最後にはゴムが自然と外れて、傷も埋まり、後遺症も残りにくいという画期的な方法です。
つまり、今の僕のお尻には、ゴムピアスが付いたパンクな状態なんです。
人生初ピアスが肛門になるとは…。
そんな傷とピアスと私な状態に、うんち様が通ってケンカにならないのか。。
怖くて、お通じがやってこない。
出ない場合は下剤です、と看護師さんから喝が入ったので、出せますともさ!と意気込み、2度目のトライヤルで何とか小指の爪ほどのうんち様をリリース。
一応、大きい方の復帰戦も無事果たせました。
でも、試合後はジンジン傷んで、ベッドでうずくまっていました。
さて、排便復帰戦と並んで、もう一つ大事なイベントがあります。
それは、手術後初めてのお風呂!
キレイキレイしてお風呂の鏡でじっくり傷口を確認したいところ。
お風呂は、受付にある20分おきに時間が書いてあるボードの、入りたい時間に自分の名前を書いて入浴時間を予約するシステムです。
21:00に予約を入れると、あとはベッドでゴロゴロして待ち、運命の時間になったらお風呂場へGO。
恐る恐るお尻の穴にシャワーを当てながら触ってみると、ある!
確かにファンキーゴムピアスが、、、ある!
これは、どこ辺りと繋がっているのかな…?
ゆーっくりと割れ物を触るように、お袋さまを触ってみると…
「!?」
何かおかしい。
何だろう、この知らない感触….!?
こんな所に有ってはいけない感触。。。
「お袋様に、僕の知らない溝がある!!」
シャワーを当ててもそんな痛くないけど、これは何だろう??
綺麗に洗った後、ドキドキしながらお風呂場の鏡に映してみると、お袋様の一部がえぐり取られて無くなっていました。
痔瘻(じろう)の手術では、化膿していた部分をくり抜くので、僕の想像では下の図みたいに化膿していて
手術でこうなるんだろうと勝手に思っていたけど
おそらく、こんな感じに化膿していたから
化膿部分を削ってこんな感じにしたんだと思います (というかそうなってた)
今日はお風呂につかって、おじさんゆっくりしちゃうぞ〜なんてはしゃいでたのに、完全に意気消沈。
トボトボと脱衣所に戻り、大事に大事にタオルで、そ〜〜〜と触れるようにふいて、ベッドに戻りました。
この衝撃を人に言いたくて言いたくて仕方なく、早速奥さんにLINEでイラスト付き解説を送って上々のリアクションをもらった後、さらに、同日に手術を受けた向かいのベッドの患者さんが、ちょうど歯を磨きに洗面所に向かったので、さりげなく僕も向かって「手術後どうですかー?」などと前フリをしつつ、面白おかしくお袋様消失事件を伝え爆笑をもぎ取ったので、何とか元はとれました (^-^)b
日曜 術後入院2日目
昨日もあったのですが、朝10:00に患部を見てもらう回診。
穴様はシンシンと変わらず痛むので、腫れてるんじゃない?と心配したけど、順調とのことだったので一安心。
後は特にやることも無いので、休憩室でこの記事を書いてのんびり過ごしています。
特筆することは無い平和な一日でした。
月曜 退院
朝、荷物をまとめて退院準備。
と、その前に、穴様のトレーニングをしないと、とトイレに向かうと、試合前から出血。
ポタポタ便器を真っ赤に染め上げて、こりゃアカンとウォシュレットで洗って、ふいてみたら、犯行現場は穴様じゃなくてお袋さん。
あわわわわ、とベッドに戻り、ナースコールで患部を見てもらい、ガーゼを当てて止血なう、です。
あっさりとは帰してくれない、味な真似をする神様…..。
10:30に、病院内にある退院の受付口が開くので、それに合わせて移動。
カードで精算をすると、有休をとって迎えに来てくれた奥さんと一緒に家路に着きました。
なお、4泊5日、痔瘻(じろう)手術ツアーの費用は
80,780円 (税込)
でした〜。
この後は、パンクゴムピアスが体の外にはじき出されるまで定期的に通院することになります。
以上が、痔瘻(じろう)治療の体験記でしたー!